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2006/06/05

『雪に願うこと』

『雪に願うこと』を観た。
主な出演は伊勢谷友介、佐藤浩市、小泉今日子、吹石一恵。

北海道のばんえい競馬を通したリアルな生活を、挫折した男の視点で描く。
ばんえい競馬を初めて観たが、速さのみでは勝てないのが印象的。
勝つには力強さが必要なのだ。障害の前で、あえて手綱を引き、馬を止める。
その「待ち」で力をため、力を蓄えたら、手綱を放し、一気に駆け抜けるのだ。
駆け抜けるというよりは、障害を突破するために不可欠な動作だ。この動作が、
伊勢谷演じる男と重なる。

ベンチャーらしき会社を設立し、軌道に乗っていたのもつかの間、あるトラブルで、
会社は破産となってしまう。気がついたら、伊勢谷は兄である佐藤が調教師を
している帯広に戻っていた。ただでいさせてくれることはなく、嫌々ばんえい
競馬の馬の世話を始める。佐藤をはじめ、厩舎の仲間を生活をささえる小泉。
そして、佐藤の厩舎の馬に騎乗する女性騎手、吹石。厩舎の仲間たちと馬にふれあっていくうち、
馬への愛情が生まれてくる。伊勢谷が一生懸命愛し、世話した馬、ウンリュウに
負けられないレースで吹石が騎乗したとき、伊勢谷の新しい一歩を踏み出した。


序盤の伊勢谷のやる気のなさがリアルに映った。
自分の中で田舎を一時「消し」、世間を見返そうとしたくだりはなんかリアル。
演技の懸命さはよく伝わる。ココロだけでなく、佐藤に吹っ飛ばされるシーンが
とても印象的。

佐藤の口下手で、悩みのある様、想いを上手く伝えられず、つい手が出てしまう姿や、
馬や、仲間に対する愛を表現する姿はさすが。


また、作品の中の景色がすばらしい。
吹石の好きな橋もきれいだが、その橋へ向かう途中の山の連なりとその下に伸びる針葉樹林の
画は大好きだ。

もちろん馬の姿にも見とれる。力強さと1トンを超える大きな体は温かさがもらえる。


演者のなかでは、テツヲこと山本浩司が素晴しい。作品に純粋さと温かさを加える。


伊勢谷と佐藤の兄弟は不仲ではない。
想いを互いに上手く伝えられないのだ。だからぶっきら棒に突き放したり、力で伝えようとする。
でも、相手のことがわかっているからこそ、相手の考えを尊重し、思い遣る。
伊勢谷は兄を、馬を、北海道を見直した上で自分の道を進んでいくことを決めた。
自分の中のわだかまりを除き、希望を新たに詰めて、行った。

そもそも、帯広に帰ってきたことから、再生は始まったのかもしれない。

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